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2024年5月22日水曜日

記事。

基本的にグリスって防錆添加剤を高配合しなくても余り支障がありません。
それはグリスの性状からも想像が付くとおり、グリスとは「オイルを含ませた半固形状なペースト」で、そのペースト成分の部分を増調剤と言うんですが、これが対象物へ物理的に付着している事から。
要するにネチャネチャしたペーストが常に対象物にくっ付いているから油分が切れ難いので錆を防止出来るって言うシンプルな理由。
でも当然ギアの様に見たまんま摩擦と摺動のオンパレードなパーツなどにおいては使用に伴う経年により徐々にグリスが剪断されて行く事でグリスの増調剤が弱って行くんです。
剪断って言うのは文字通り「断ち切る働き」の事で、超分かり易く言えば「キャベツのみじん切り」を作る過程、つまり包丁でキャベツを切り刻むじゃないですか?場合によっては叩く様にしたり。
この事を剪断と言います。
これらがどんなグリスにも必ず起こっていて、増調剤の繊維が切り刻まれたり叩かれたりする事で、繊維が細分化されてしまって軟化してしまうんです。
なんとなく想像が付きますよね?
その軟化してしまった増調剤だとグリスに含まれるオイルを十分に保持出来なくなって来るので、増調剤とオイルが分離し易くなって来ます。
そうなるともはやグリスの特徴である性状では無くなってしまうので、オイルも流れ出したり飛散したりして適正な油分を供給出来なくなる。 
なので長期的に使用しているとか発熱や水分などにより酸化して適正な状態を維持出来なくなったグリス、これらを使い続けていると正常な効果が発揮されず錆てしまったり焼き付いてしまう事が起こり易くなるんです。
でもどうやって見分けるのか?これは中々難しいですよね。
なのでBOREDではいつも定期的なメンテナンスが必要ですって言って来たんです。
ま、環境や状況など様々な要因によりグリス寿命は左右されるので寿命を一概に数字で表せる訳では無いのですが、そのメンテナンス云々とは別の視点として特殊な位置付けのディフェンス専用グリスを作れば需要があるんじゃないか?と。
まぁこれは元々グリス製品を開発や設計する段階で既に十分行っている部分でもあるんですが、更にもっと極端にディフェンス面だけに特化したグリスと言うか、潤滑よりも耐久を最優先させたグリスがあれば使用パーツの寿命が長くなるかなと。
現状としてBOREDのMETHODグリス全てにおいて防錆効果は持たせてあるんですけど、冒頭にも書いた様にグリスの物理的な性状を利用している事もあってブッチャケ防錆添加剤の配合割合は微量なんです。
ならばもう極端な防錆効果と焼付防止効果を配合したディフェンス専用とも言えるグリスがあっても良いよなと考え、実は既にこの試作をもう随分前から行っています。
でも、どーせなら既存のMETHODグリスと同一のウレア系グリスとして混合カスタムにも対応出来る様に、そしてバッティングしないような粘度や粘性でないと意味がないだろうし。
ん?アップグレードにすれば良いのかも?と色々と試行錯誤している現状です。
ですが肝心のグリスは未だ未完性でして、もう1年以上トライアンドエラーを繰り返しています。
なんて効率の悪い事か。
製品化までに1年以上の時間を費やすなんてアホだろ?と常日頃から思っている癖に、今回だけは業務の合間をみながらの試作なので時間が掛かっておりまして。
単に防錆添加剤を配合しても性状が安定せず、しかも生産過程で使用する熱により侵されてしまう事もあり、これをどうやって解決するのか?
もうシンプルにパターン化させてコレの次はコレって言うシラミツブシな方法でやり続けています。
が、こんな記事を書いていると言う事は少しは進展したからでしょ?
ブッチャケそうなんですけど不安要素を完全に払拭しないと製品化は無理。
そんなシークレット風?な報告でした。

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