昨日の事なんですがカーボンナノチューブことCNTを使用したオイルについてお問い合わせを頂きました。
で、カーボンナノチューブ自体の知識は10年ほど前?にテレビでその特集番組を見た記憶もあり、製品として応用が出来る様になると軽くて強い「日本のお家芸」が世界中から求められるんじゃないの?と期待していた記憶があります。
で、実際にカーボンナノチューブとは炭素を原子レベルでハニカム状に形成した(つまりグラフェン)を更にチューブ状にした物なんですが、驚くべきは原子レベルにつきその大きさがナノサイズだと言う点。
なのでこれは同じ炭素であるカーボン繊維複合材ことCFRPと組み合わせれば釣具ではロッドなどで、自転車ではフレームなどで凄い物が出て来るんじゃないかと思ったほど。
でも目に見えないほど小さいので吸引してしまったりすると発癌性物質として有害だよね?とか、余りにも小さ過ぎて造形するには樹脂に混ぜたりするから利点は?とか、今で言えばそれこそマイクロプラスティック的に大丈夫?など懸念要素も同時に考えていました。
だから工業分野で造形されて使用される分には良い素材なんでしょうけど、水辺や野外で使用されるフィッシングやサイクルなどのホビー分野ではどーなんだろうと。
あくまでもイメージとしてね。
がっ、これをオイル中に配合してカーボンナノチューブオイルとしたところで、所詮は固形物として恐らく極圧添加剤や摩擦調整剤の一種になるのでBORED的には一切興味の無い存在。
だって固形添加剤としては既にPTFEことフッ素が主流となっている訳だし、それ以外にも二硫化モリブデンとか粒化チタンなど色々とあるんでね。
で、このカーボンナノチューブオイルの「ウリ」は何だろう?と軽く調べてみたところ、どーにも油屋としてのBORED的には納得いかない点がありましてね。
つまり「ウリ」はフィッシングリールのベアリングやギアなどに使用すると、油分が揮発した後でもこのカーボンナノチューブが被膜を生成して金属表面のデコボコへ入り込み金属表面を保護し続けるそうな。
良く見かける市販のPTFEことフッ素を配合したオイルのウリ文句と全く同じです。
ま、固形添加剤ですからね。
ん?
でも予め油分が早めに揮発する事を懸念しているオイルって事?それとも油分が揮発する事を促進させていると言う事?
ナゼに「オイル」として販売するのに「揮発後も揮発後も」ってソコをアピールしているんだろう?
前者の様に揮発を懸念しているのであれば使用しているベースオイルの品質を追求すれば更に良いんじゃないの?
後者の様にもし油分の揮発を促進させたいなら油分じゃなくて安価な溶剤を使えば良いんじゃないの?
しかも被膜が残る仕組みが謎で、被膜を生成するのか?単なる付着なのか?
通電はするけど。
と、割と「?」が付く点がアピールされていました。
で、元々カーボンナノチューブはとにかく比重の軽い炭素が原子レベルの大きさな上に、チューブ状と言う事からも分散し難い点は容易に想像される訳です。
要するに小麦粉が固まっちゃうみたいにすぐ固まっちゃわないの?と。
これをオイルとして考えた場合だとオイル中に上手く均一に分散させる為には油脂業界的には分散剤と呼ばれる添加剤を使用するんですが、無機質であるカーボンに対応しているのか?それとも何か独自のテクニックでオイル中に均一に分散させられるのか?
まぁその点は具体的に何も書いていませんし敢えて書く必要もないです。
けど肝心のベースオイル自体については詳細が何も書かれていない。
もちろん粘度表示もされていない。
なのでコレちょっと良いのか悪いのか全く分かりません。
何よりも本来アピールするべき点は油脂業界でとっくに主流となっているPTFEことフッ素と一体何が違うのか?
だって最大のライバルでしょ?
仮に極圧性などの耐久性全般がPTFEことフッ素を何倍も上回ると言うのであれば、固形添加剤を使用していても良いよと言う人にとってはアドバンテージになるかもしれません。
ま、実用判断になりますけど。
けれどその差が余りにも少ないのであればどーでしょ?敢えて実績の少ない未知に近い材料を使う意味があるのか?
しかもリールのギアにも使用する旨が書かれていましたが、グリスではなくてナゼにオイルとして供給するのか?
グリスとして供給した方が説得力があるじゃないですか?
だって全てのアングラーが軽い巻感だけを求めていない訳ですし、高粘度オイルですらグリスとは特性が違いますからね。
なのでBOREDのMETHODでは固形添加剤を一切無使用をポリシーとしていますが、固形添加剤を使用しなくたって既に実績として評価を頂いている事はお蔭様で。
と言う事でBORED的にはアウトオブ眼中です。
ちなみにナゼBOREDのMETHODでは固形添加剤を一切使用しないのか?
これは上記カーボンナノチューブオイルの説明に書いてある事にも当て嵌まるんですけど、固形添加剤を配合したオイルが揮発した後には当然ながら固形添加剤だけが残ります。
これはそうなんです。
でもその残った固形添加剤が使用したパーツの表面だけではなくて、もっと更に盛大に残っていた場合はどうなりますか?
金属の目に見えない隙間やデコボコだけに上手く入り込んだとして、キッチリと全てが余る事なく入り込むんでしょうか?
それは無いでしょー。
またその逆として金属の目に見えない隙間やデコボコに入り込めていなかった場合はどうなります?足りていなくて部分的にしか入り込めていなかった場合ね。
焼き付きますよね?
なので上記で書いたPTFEことフッ素を使用した市販オイルでウンザリするほど見かける説明と同じなんですが、金属の目に見えない隙間やデコボコを埋めて金属表面を常に平坦に保ってくれると言う理屈は全く信じていません。
そんな都合良く「ちょうど」で済むかよって。
逆に余った場合は単にウンチやハナクソみたいな物がどこか一点に固まっている事になるのでは?とも。
そしてそれは抵抗になるはず。
だからBOREDのMETHODでは20年以上も固形添加剤を使用して来なかったと言う事であって、これからもそのポリシーに変わりはありません。
最後にもう一つ。
そんなにも優秀で最強のオイルなんだとしたらナゼF-IやMOTO GPなど究極のシーンでマストとして使用されないのか?
それが言い過ぎだとしてもせめて国内外の所謂スーパーカーで推奨使用されていてもおかしくないですよね?
所謂スーパーカーで推奨されているエンジンオイルなどはMETHODオイルの材料と同じ化学合成油または部分合成油です。
シェルやフックスやカストロールなどで見れば分かります。
まぁこれはアゲアシみたいになってしまうのでアレですけど、でも実際にはそーゆー訳なのでコレとコレでどう違うのか?これらを明確に分かり易く説明して欲しいところですよね。
だって新たな未知の材料ですし期待もありますし。
お問い合わせを頂いた方にはこの事をDARKSIDEBOREDBLOGで書きますよと伝えたので書いてみました。
ま、あとネットで拾ったカーボンナノチューブの画像を拝借していますが、この形状の物がナノレベルとは言えオイル中にあると言うのはどーなんでしょ?
決してDISではありませんけどBOREDとしては固形添加剤と言う点で基本的に別物のオイルとしていますので何も興味はありません。
長文失敬。
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