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2025年2月28日金曜日

裏技。

BOREDがサイクルメカニックをメインとしていた時代からシールドベアリングは全て高周波洗浄機での脱脂洗浄後に恒温装置にて乾燥を行っています。
画像のベアリングはホイールのハブで良く使用する6000番台のLLB、つまり両面ゴムシールの非接触型でゴムシールを取り外した状態。
多分6000、6902、6903かと。
基本的に溶剤を使用した荒洗浄~溶剤を使用した中洗浄~溶剤と高周波洗浄機を併用した仕上洗浄を行ってから間髪入れずに恒温装置へ並べて一定温度で加熱します。
そして適正なMETHODオイルをベアリングの表からも裏からもタップリと注油し、そのまま常温で放置してから軽く回転させベアリングに油膜を良く馴染ませます。
一滴だけの注油でOKとかアピールしているオイルメーカーなどがありますがアレは絶対にやめてくださいね。
で、最初に取り外しておいたゴムシールも同様に軽く荒洗浄後に乾燥させておき、常温で放置させていたベアリングへ嵌め込んで取り付ければ完成。
これがこれまでBOREDがサイクルメカニック時代に行って来たベアリングのチューニング作業。
キモは恒温装置による一定温度での熱処理によりオイルに配合されている添加剤が直ぐに反応し、ベアリング内全ての金属表面に分子レベルの被膜を生成すると言う点。
で、現在メインとなるフィッシングシーンにおいては画像の6000番台では無く、一回り以上小径のミニチュアベアリングが使用されている訳です。
このフィッシングリールで使用するミニチュアベアリングにおいても脱脂洗浄の工程は同じで、中にはセラミックボールやPTFEリテーナーが使われている物もありますが、基本的に金属製ベアリングにおいては同様と言う事。
で、以前からこのDARKSIDEBOREDBLOGでも「裏技」としてご紹介して来たベアリングへの熱処理について改めて。
熱処理と言うほど大袈裟な作業ではないのですが、上記の様に脱脂洗浄され油分が全く残っていない完全なパサパサ状態となったベアリングへ注油する前に、どこの家庭にもあるドライヤーなどを使ってベアリングに熱を加えます。
理想的な温度素材により60度~80度くらいなんですけど、中々家庭で温度計を使用しながら作業を行える環境はレアでしょうし、大体の感覚的にはドライヤーで熱したベアリングを触ると瞬間的に「アチっ」と感じるくらいの温度です。
コンマ何秒かでも触れてしまう温度では未だ少し低いので、瞬間的に温度と危険w を感じる熱さが大体60度くらいと言う事。
個人差はありますが。
でもこの位の温度になっていればMETHODオイルに配合される添加剤は反応を始めて行きますので問題ありません。
では逆に何も熱処理をしないで脱脂洗浄後に注油だけ行った場合と何が違うのか?
これは注油した直後に被膜が生成がされる事により金属表面の保護効果が早いと言う点と、高温によりベアリングのボディ、ボール、リテーナー全ての金属が熱膨張を起こしているので、注油した油分が隅々まで良く浸透されると言う点です。
けれどベアリングは静止状態では全く摩擦を起こしませんが、当然キャストやリーリングにより回転する事で摩擦が生じます。
つまり地球上では摩擦=発熱なので実際には上記の熱処理を予め行わなくても、釣行で普通に使用している内に勝手に添加剤による被膜が生成されます。
と言うかそーなる様に添加剤の熱反応速度を調整してあります。
だから無駄に高価なカスタムベアリングを更にパーフェクトな状態で仕上げたいと言う場合には上記の熱処理が有効ですとう事であって、METHODオイルユーザー全てが予め必ず行うべき作業と言う訳じゃありませんので念のため。
実際にリールメンテナンスサービスなどの業者においても上記の作業を行っていない場合が多く、と言うか熱処理により添加剤の熱反応速度をコントロール出来る事を知らない場合もあるんでしょう。
あの人はやってますけど。
但し、注意点として注油後に何度も熱を加えるとベースオイルの酸化を促進する事になってしまいます。
そして上記の流れからも分かるとおりベアリングへ新しいオイルを注油する際には必ず事前に脱脂洗浄を行う事。
もちろん定期的に注油だけを行う際には脱脂洗浄する必要はありませんが、けれど必ず同一のオイルを使用するのがべストです。
これは先に書いた様にオイルに配合される添加剤が生成した被膜が、他社のオイルを使用する事で侵されてしまう場合があるからです。
よって注油だけの場合でも現在使用しているオイルと同一オイルを使用する事、またはMETHODオイルの様に自社内であれば混ぜ合わせても大丈夫なオイルを必ず使用してください。
あとね、皆さん余りにも気が付いていない事として、ベアリングって最も身近な超高精度な工業製品なんですね。
なので高い位置から床へ落としちゃうとか、埃や塵の多い環境で扱うとか、逆に湿気や水分の高い環境で扱うとか、脱脂洗浄後に空回しさせるとか、そーゆー事だけは絶対にやめてください。
衝撃、摩擦、不純物により超高精度が台無しになってしまいますからね。
普通に自宅の机の上にゴムシートとかペーパーウエスとかマイクロファイバータオルを敷いて扱ってもらえれば大丈夫です。
全て100円ショップで買えますし。
と言う訳でもう何度目か?になる「裏技」として金属製ベアリングへの熱処理の意味と目的でした。
さぁぁぁ~ご注文どーぞ。

1 件のコメント:

  1. 鋼の焼き入れや焼き鈍しとは違いますので参考まで。

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