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2022年8月15日月曜日

記事。

引き続きおあつーございます。
本日よりBOREDは通常営業を再開していますが、有り難い事に早々にご注文分の発送ラッシュに追われています。
さて、いきなり休業明けにディープなネタなんですが、精度の話。
以前サイクルメカニック時代にも話した事として、工業製品の精度について少しお話しますね。
最近良く目にする22年モデルの最新リールを新品未使用品として購入したのに少し異音を感じるとか振動を感じるとか。
これね、場合よっては当たり前なんです。
もっと言うと所謂ハズレを買っちゃったって話。
と言うのも一例を挙げるとメインギアとピニオンギアはお互いにペアで接触しているパーツと言うのはご承知のとおり。
で、切削機械の刃物をバイトやエンドミルと言うんですが、例えばこのメインギアを切削機械で削り出した際に1個目と1000個目だと刃物の摩耗具合が当然異なって来る訳で、当たり前だけど1個目より1000個目の方が精度は甘くなる訳です。
で、その合格基準として設定している精度の事を公差と言うんですが、指定公差以内なら合格って判断をするのが機械加工の常識。
少し詳しい人だと目にした事がある1/100mm公差とか1/1000mmって奴で、つまり0.01mmと0.001mmって事。
もちろん地球上では絶対に摩擦が起きる事から0.01mmキッチリで削れる事は無い、ので更に+-も加味したプラス公差とかマイナス公差を指定します。
そのプラスマイナスとは例えば0.01mmに対して少し大きくてもOKだけど少しでも小さければNGって事ね。
でね、フィッシングリールでもサイクルパーツでも動的精度って言って、動かして使用する工業製品ってクリアランスも見越してあったりするので、まぁ1/100mm公差でキッチリ動くなら全然アリな世界。
光学機器とか医療機器なんかになると1/1000mmとか更に精度の高い世界になって来るんだけど。
で、話を元に戻すと例えばペアで使用するメインギアは1000個目、ピニオンギアは1個目で切削された物の組み合わせだとすると、それらのペアは当然1/100mm単位で微妙なズレやスキマが生じる訳。
でもメーカーの切削工場はCNCと言ってフルにオートメーションになっているから、自動で切削され完成されたパーツはトレイの中へポトンポトンと落とされる。
要するにどれが1個目で1000個目だか区別する事が出来ない。
これらが投影機なんかの測定機械などでの検査を経て合格と不合格に別けられ、その合格したパーツが更に人の手で組付られるって事なんで、もうボディを含め全てのパーツが加工1個目だけで組付られる確率なんてゼロに等しいと。
そこで微妙なクリアランス調整についてはシム又はオイルやグリスの油膜で上記の様な目に見えない「ズレ」を補正する事もあると。
もちろんこれらの事はギアだけに限らず他の全パーツに該当するのは言わずもがな。
でもこれらは全く残念な話では無くて、この新品未使用品の状態で異音や振動を感じたとしても、実用上では全く問題無く機能する訳ですよ。
なのでハズレを引いたら先ずはメーカーに相談したり購入したショップに相談してみたりするのが本筋。
但しメーカーの公差基準に適合している上で組付も適正であればメーカーとしては「異常無し」って判断をするしかないんですね。
数字と手順で判断して来てるから納得せざるを得ない訳。
まぁ悔しいけどね。
だからもう何度メーカーに修理を出したって結果は同じだから諦めるしかない。
そうなったらもう自力で補正するしかなくて、そこでシム又はオイルやグリスの出番になると。
そんな時にMETHODのSIGMAグリスの様に高粘度で高粘着&高弾性が活躍したり、OMEGAグリスの様に低粘度なのに高粘着&高弾性なグリスが活躍するって話なんです。
なので決して妥協では無くて解決策としてポジティブに捉えて欲しい。
だって仮に100点のアタリ個体を手に入れたとしてもオイルやグリスが全く使われていなかったら異音や振動だらけなんだから。
それにメーカーで組付られる際は人の手に寄る作業なので、グリスの塗布が適当だったりオイルの量が少なかったりなど、これら要因も最初から存在しているって事を考えれば救いになりません?
ならないかもw
後は人が生きている以上は運=タイミングもある訳だからね。
そのバッドラックな解決策としてもBOREDが後ろに控えていますんで、少し予算を追加して安心を含めて購入してみて欲しいなと。
なんつって。

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