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2025年9月9日火曜日

記事。

9月も一週目を過ぎたと言うのに未だ30度どころか35度を超える気温が続いていますが、流石に湿度が落ち着いて来たせいか日中以外は少し過ごし易く感じています。
けれど今年の場合だと6月~8月の真夏は特に過去一番の異常気象だった訳で、その真夏の三ヶ月間に使用経過したメンテナンスこそがこれから迎える秋のハイシーズンに重要となって来ます。
オイルもグリスも当然ながら地球上で使用している以上は必ず酸化しますし軟化もしますが、BOREDのMETHODオイル&グリスが持つ特徴の一つとして割とクリーニングがスムーズに行える点があります。
つまりオイル自体が原因となる汚れの付着が極めて少ないと言う事。
と言うよりもこれは意識している部分でもあり、もちろんその源と言うのは材料に依存します。
その理由を書きますね。
1つ目は、全ての材料にはベースオイルに化学合成油を使用していると言う点。
2つ目は、ポリマーに依存せず極力ベースオイルの性能で補っていると言う点。
3つ目は、固形添加剤を一切使用していない事で不純物化する物が無いと言う点。
この3つがその理由となります。
この辺については過去記事でも散々書いて来ましたが、やはり油脂類の性能を決定付けるのは主成分であるベースオイル。
例えると味噌汁を作るのに天然水を使うのか?水道水を使うのか?ドブの汚水を使うのか?ほど違う。
このベースオイルの品質や種類こそが文字通りオイルの土台を決定する物であって、METHODオイル&グリスとは真逆となる市販他社の鉱物油とは大きな差が生じます。
では先ず1つ目について。
BOREDのMETHODオイルはベースオイルに100%化学合成油を使用しているフルシンセティック、METHODグリスは部分的に化学合成油を使用しているセミシンセティック、METHODペースト唯一のVNLペーストについてはベースオイルに化学合成油を使用しているシンセティックなんですが、添加剤の一部に高度精製HVHI油と言う化学合成油に近い高性能な物を使用しているので正確にはセミシンセティックとなります。
この化学合成油と鉱物油の差については以前から何度も書いて来ましたが、ザックリ言えば地面を掘って吹き出して来た原油を原材料として、不純物を適度に除去した後に出来上がったグレード1とグレード2に当たるグレードの低いオイルが鉱物油です。
その精製過程において更に高度精製を行い不純物を極力取り除き、一度分子構造を分解して分子を均一化させた物がグレード3のHVHI油となります。
そして上記の鉱物油とは全く異なる物がグレード4のポリアルファオレフィン化学合成油とグレード5のエステル化学合成油になります。
原油由来の石油を材料としていない事から不純物を殆ど含まず、それぞれの化学物質を組み合わせて化学的(人工的)に作られる為、用途に合わせて得意な性能に特化させる事が出来ると言う訳です。
BOREDのMETHODオイルで使用しているベースオイルはこのグレード4のポリアルファオレフィン化学合成油とグレード5のエステル化学合成油と言う事。
つまり、グレード1とグレード2は最初から不純物を含んでいるオイルと言う事で、これらが連続する摩擦や摺動そして温度変化などの条件により揮発や酸化を起こし徐々に油分が失われて行く事で、その不純物が原因となりコゲとかヤニの様に変化し汚れ易くなる訳です。
なので鉱物油が劣化するとアスファルト(不純物)に似た独特の嫌な匂いがします。
で、グレード4のポリアルファオレフィン化学合成油とグレード5のエステル化学合成油は元々不純物を含んでいない事や、鉱物油よりも遥かに広い温度範囲に適応している事で揮発や酸化を起こし難く、それ故に上記の様なコゲやヤニなどへの変化を起こし難いと言う事になるんです。
次に2つ目について。
多くの潤滑油に含まれるポリマーとは樹脂の一種であって、多くのプラスティック原料と言えば分かり易いでしょう。
このポリマーはベースオイルの粘度や粘性を調整する為に配合されている物ですが、このポリマーも上記の様に揮発や酸化に伴い固まり易く、また高温になると粘度が下がり低温になると粘度が上がると言う点を調整する役割で配合します。
けれどポリマーはオイルではなく高分子な化合物なので、摩擦や摺動などの物理的な負荷が加わると分子構造がモロくなってしまい、一度モロく破壊された場合は元に戻る事がなく粘度変化が著しくなってしまいます。
そうなると特に高温環境下においては割と直ぐにコゲた様な汚れとなってしまい、油分の揮発に伴いベトベトしたヤニの様に変化してしまうと潤滑を大きく損なう事になります。
なので配合する際にはそのオイルのターゲットに合わせて配合割合を決める事が重要で、METHODオイルで言えばLIGHT DUTYオイル、NEMEAオイル、CHIMERAオイルはポリマーを殆ど使用せず、逆にBSLUオイルやTHICK HEAVYオイルはポリマーを適正割合で使用しています。
決して低粘度オイルだから高粘度オイルだからと言う訳ではなくて、個々のオイルに設定したターゲットに合わせて使用するまたは使用しないと言う事。
最後に3つ目について。
これは最も多く以前から書いて来ましたが、とにかくBOREDのMETHOD製品では固形添加剤は一切使用しません。
テフロンに代表されるPTFEことフッ素、モリブデンに代表される微粉金属の二硫化モリブデン、また最近ではカーボンナノチューブ、チタン、セラミックなどもありますが、多くは前者の2つとなるでしょう。
これもオイルのグレードに比例する事となりますが、オイルが揮発や酸化を起こし易い鉱物油の場合は化学合成油に比べオイルの状態変化が激しいと言う事になり、つまり容器に入っている量がみるみる減って行ったり粘度がどんどん高粘度化したりなどで確認出来る場合もあります。
そうなるとオイル中に分散し配合させている固形添加剤は徐々に分散されなくなり、仕舞には沈殿したりする事で配合されている意味がなくなってしまいます。
で、極端な想像をすれば揮発や酸化を起こしやすい鉱物油に固形添加剤を配合している場合、オイルの状態が変化し劣化して行く事で、配合されている固形添加剤は単なるゴミ化してしまう場合があると言う事です。
味噌汁の底に溜まったカス状態。
これ実際にサイクルメンテナンスで直接確認した事ではありますが、フッ素が配合されているスプレーオイルをブレーキアウター内にスプレーしてからブレーキワイヤーを入れて使用し、その後暫くは滑らかでスムーズな動きを見せているのですが、経年使用によりブレーキアウター内にスプレーした油分が揮発して来ると徐々ににブレーキレバーの引き感が重くなって来るんです。
なのでこのブレーキアウターに使用するなら固形添加剤を使用していないスプレーオイルがベストであって、BOREDではLIGHT DUTYオイルこそベストと考えメカニック作業でも長年使用して来ました。
これ段違いでブレーキの引きに影響して来るので、頻繁にブレーキアウターやブレーキワイヤーを交換するレースシーンならまだしも、逆に街乗りとかストリートで使用する前提ならばこそ推奨としていました。
つまり自転車なので乗っている間は頻繁にブレーキを使用する事になり、更に雨天などの影響で水が浸入する事もあったり、逆に空気が乾燥していれば砂や埃が浸入する事もあって割と過酷なパーツでもあるんです。
なのに更に固形添加剤が固まりとなってしまう事でブレーキレバーの引き感に影響してしまう場合もあると言う事です。
だかそこオイルは出来るだけ経年変化によりオイル自体が汚れの原因となってはイケナイ。
それ故に上記3つの条件でBOREDのMETHODオイルを設計していると言う事なんです。
但し、METHODオイルでも敢えて着色しているオイルの場合は時候により色味が変化したりしますが、これは固形の顔料ではなく液状の染料を使用している事で変化を起こし易い部分もあり、またBSLUオイルやBALBOAオイルなどでは沈殿している何か?が見られる場合がありますが、これは添加剤の配合割合が多い事で温度変化などによりベースオイル中に対し添加剤が飽和状態となってしまう事であって決して固形添加剤ではありませんので、少し暖めてから良く振っていただければ問題なく使用出来ますので念の為。
この辺りの使用上の注意に関してはBORED STOREの各製品ページ下部に※を付けてキチンと記載してありますのでゼヒ読んで頂ければと。
さ、またコレ系の記事になると長文となってしまいましたが、BOREDのMETHOD製品は使用オイル自体が汚れの原因となり難いと言う事の説明と、他社製品の鉱物油よりも圧倒的にクリーニングし易いはずと言う事で、メンテナンス意欲にも繋がってくれたら良いなと思い書いてみました。
秋のハイシーズン前の本格メンテナンスを行うのはホント今ですよ。

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