2025年11月25日火曜日

案内。

いや~ずっと多忙、なのに貧乏、だけど健康。
昨夜でBASEのPay ID BLACK FRIDAY 2025キャンペーンも終わりましたが、今回も多数のご注文を頂きましてありがとうございました。
けれど更に多忙に追い打ちと言う事で全ての発送は27日までに終える見込みです。
さて本題。
今年の夏BOREDのMETHOD製品としては初の試みとして誕生したVNLペースト。
オイルでもグリスでもない独特な性状から敢えてペーストと謳っていますが、オイルとしては粘度も粘性も高く逆にグリスとしては粘度が低く粘性は高いと言うユニークな存在となります。
何気に個人的にはなくてはならない存在でもあり、特にビッグベイトやジャイアントベイトなどのヘビーウェイトにおけるベイトリールのボディ内ベアリングには有効な存在で、でも逆にレギュラーサイズのスピニングリールではオシュレートとかメインシャフトとか各種ギアなどに使用しても有効と言う点も非常にユニーク。
つまり既存のオイルやグリスの限定された用途にとらわれずに好きな所で試して貰える玄人向け?な製品と言う事です。
で、そのVNLペーストのサンプルテストにおいては一般ユーザーを募集して様々なモデルやシチュエーションで夏前から試用をお願いして来た訳ですが、その際にスローピッチジャークにて使用するジギングリールでお馴染みのマーフィックスではコルクワッシャーを使用している事で、長時間負荷を与え続ける独特なドラグ素材によりVNLペーストでは焼き付きを起こした事がありました。
コルクワッシャーの場合はレスポンス良くスムーズなドラグと言う訳ではない代わりに、柔らかく長時間負荷をかけ続ける事が利点となりますが、どうしても長時間の摩擦により高温となってしまう事でコルクが焼けてしまったんです。
けれどコルクは自然素材と言うか木材と接着剤で出来ているだけに仕方ないと言えばそうなんですが。
正直ショックで。
また、GTやマグロなどの大型青物に対応した8000番~30000番サイズのスピニングリールにおいては、それ以下の型番とは異なるドラグシステムにより同じグリスでは対応が不可となる場合もある。
そもそもヒートシンクを備えた特殊な大面積のドラグにおいては、少しの熱ダレによる油膜の劣化は致命的となる場合があり、真夏などは特に既存の油脂を使用したグリスでは歯が立たないシチュエーションも多い。
けれど市販他社のドラググリスとして存在しているあらゆる増稠剤のグリスは使用温度範囲が上限で200度ほど。
ちなみにMETHODの既存ラインナップであるウレア系グリスは上限で180度に設定してあるので、レギュラーサイズまでのリールなら全く問題なくドラググリスとしても使用可能な訳です。
非常に優秀と自負している点でもありますし。
けれど市販他社の大型スピニングリールに対応している専用と呼ぶべきドラググリスの多くが使用温度範囲200度であるなら、もっと大きく耐熱性を上げてしまえば焼き付く事も熱ダレを起こす事も予防出来るだろうとシンプルに発想。
そこで使用温度に関わらず粘度変化が少ない上に、耐熱性と共に耐水性も撥水性も持ち併せている、そんな素材は無いか?としていたところ、やはりシリコーングリスに辿り着いたんです。
それがMETHOD新製品予定の「SARATOGA」(サラトガ)です。
これまでも個人的にシリコーングリスの必要性を感じていた部分もあるのですが、どうしても既存の油脂とは異なる完全な別物となる事から使用に際し誤解を招かないとも言えないので使用する事は避けて来まして、けれど特化した用途に対してのみ有効と言う事であれば使わない手はないと言う事で、正にVNLペーストを発売した6月下旬から入れ替わりで試作を開始したんです。
そして11月上旬の食中毒でビチビチだった際に提携業者から指定通りの最終サンプルが出来たかもと連絡をもらい、ビチビチで動けないから郵送してと届いた最終サンプルがスコブル調子良くて。
今回使用するシリコーンとはググれば分かるとおり油脂ではない事からBOREDでは自社生産が出来ません。
もちろん一部にコンパチ出来る添加剤などはあるんですけど、でも元々の素材が所謂アブラでは無い事から生産におけるノウハウが乏しい。
なら提携業者にお願いしてみようと言う事で6月から色々と共同で試作を行って来ました。
その対象として市販他社のソルトウォータで評判の良い製品を参考にしてみたんです。
それにBOREDでも過去にDEALERの10minutes別注グリスとして生産した際にアルミニウムコンプレックス、カルシウムスルホネート、リチウムコンプレックスなど比較的レアな増稠剤も色々と試して来た経緯もあったんですが、どうしても使用後の汚れ?が目立つ物が多かったり離油の調整が難しくて継続使用するのはヤメようという事になったんです。
効果はソレナリだし良い出来だったんですけど、どーしても乾燥が早かったり粉状の付着が激しくてクリーニングが面倒だと。
で、もちろん今回の「SARATOGA」もBOREDがポリシーとしている固形添加剤の使用は一切無使用とした上で、生物や環境にも無害で安定した素材と言う点も継承しています。
と言うのは類似性能のシリコーングリスの多くにはPTFEことフッ素を配合している物が殆どなんですが、この「SARATOGA」はシリコーン系だけで形成されているので純粋にシリコーンのみの使用につき安全無害と言う事になります。
天下のW社やK社などをはじめ自動車関係のシリコーングリスで超高温域に対応する物は殆どがPTFEことフッ素を配合していました。
シリコーンの大元であるシリコンと言えば所謂ケイ素なので、つまり無機質なガラスやセラミックと同類と言う事になります。
陶器やガラスなんて何百年経っても腐らないし舐めたって身体に害は一切無いでしょ?
そーゆー事です。
でもH1グレードの必要は無いので舐めちゃダメですけど。
で、とにかく今回はVNLペーストと同様に玄人向け?なポジションにしたかった事もあって、何か特化した性能を持たせたかったんですが、それこそが上限240度以上を誇る使用温度範囲と言うもの。
市販他社の平均上限200度よりも更に40度も高い耐熱性ながらPTFEことフッ素は無使用と言う点が唯一じゃない?と発売を決意。
その土台としてシリコーンオイルを基油に使用しているのは当然として、増稠剤には無機増稠剤を使用する事で一般的なリチウム系増稠剤とは異なる事で耐熱性が高いと言う。
この相乗により使用温度範囲はザックリと-30度~240度となっています。
あ、シリコーングリスは耐寒性も高いんです。
北極だの南極だのじゃないから余り需要がないんでアピールしてないのですが、シリコーンの特徴としては化学合成油を超える耐寒性も備えています。
つまり気温マイナスの極寒な状況でも正常に機能すると言う事。
これらの事から大型のスピニングリールやジギングリールではカーボン、フェルト、コルクと素材を問わずドラグワッシャー全般で、またあらゆるリール内で使用するゴムシールやOリングそしてプラスティックギア、あとリール本体とは離れた位置に存在しながらも水没や浸水の多いハンドルノブ内のシーリングなど。
なので金属同士以外なら他にも割と使えるパーツは多いんです。
しかも経年によるケミカルアタックもストレスクラックも一切起こさない。
だけどユーザーの多くは上記の中でもドラグワッシャーへの使用をメインとすると想定していて、ドラググリスって単にラインがスムーズに出れば良いと言う事だけではなく、大型になればなるほど止めたい時にシッカリと止められる性能も重要となるんですね。
では稠度を高粘度にすれば良いのか?と言うとそんなに単純じゃない。
そこで行き着いた粘度設定として稠度2号の範囲内ながら出来るだけ3号に近い稠度。
これ以前にも何度か書きました様に、稠度2号の動粘度は265~295であって稠度3号の動粘度は220~250なんです。
で、今回の「SARATOGA」は動粘度265です。
動粘度の数値が小さくなると稠度が高い高粘度となるので、限りなく3号に近い範囲内の2号と言う設定にしています。
この辺りが一番拘ったところでもあり。
非常にシルキーで滑らかな性状を持つ「SARATOGA」だからこそ、その性状を利点として生かす意味でソレナリに高粘度であると面白いなと。
重いからベタベタで軽いからヌルヌル、じゃなくて重いけどヌルヌルなイメージ。
長文になって来ましたが下記の重要な点を最後に。
シツコイ様ですがシリコーングリスは材料自体が油脂では無い事から金属パーツ同士への使用においては物理的にくっ付いているだけで、METHODオイル&グリス&ペーストで使用している化学合成油の特徴となる化学的吸着性は持ち併せていません。
つまり他の一般的な油脂で使用される各種添加剤の使用は不可となる事で、酸化被膜を生成する様な極圧性や減摩性は持ち併せていない事から、金属同士の摩擦や荷重に対して期待する様な耐久&潤滑などの効果はありません。
あくまでもギアやベアリングなど一般的な消耗品には通常通りMETHODオイル&グリス&ペーストが有効となります。
この点は誤解のない様に。
とにかくシリコーングリスもシリコーンオイルも単に対象物に付着しているだけで化学変化は起こしません。
だから当然METHODオイル&グリス&ペーストとの混合カスタムには使用出来ませんし、一般的に流通している市販のシリコーングリスとも増稠剤が異なるので混合する事は出来ません。
あくまでもこの「SARATOGA」単体でご使用ください。
もちろんBOREDオフィシャルとしては上記使用が推奨と言う事なので、ユーザーの自己責任にて各所で試用される分には何も言いませんが。
で、気になる発売時期については恐らく年内には発売出来る見込みとなっています。
と言うのも真冬の一般的なオフシーズン中に仕込んで頂ける様にを目標として来まして、なんせ年末年始とか冬休みなど時間がタップリある際にメンテナンスと共に仕込んで貰えたら思っています。
なので現状として未だ提携業者と詰める部分も残っているので詳細は今月中に決定する予定です。
BORED的にも提携業者と初の共同開発製品となるので結構シビアに進めていましてね。
そんな隠れた仕込みが意外と長引いてしまったのですが、BOREDのMETHOD新製品「SARATOGA」にゼヒご期待ください。

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